「私の主張が中国や韓国に着実に浸透」と題した安倍首相講演 こんなに自己評価した人初めてだ

 安倍晋三首相は14日、都内のホテルで講演し、中国や韓国との首脳会談を踏まえ、「地球儀を俯瞰(ふかん)する外交を展開するなかで、私の主張が着実に浸透しつつあると感じている」と述べた。講演の詳細は以下の通り。
 
 皆様こんにちは。安倍晋三でございます。ただいま司会の方からご紹介をいただきましたように、この内外情勢調査会にやってまいりましたのも3年連続になるわけであります。過去、中曽根(康弘)元首相、そして鈴木善幸元首相という前例があったそうでありますが、この10数年においては大変珍しいことではないかと思います。
 なかなか3年連続というのは、まず首相として3年連続やっていないとならないわけでございまして、そもそも現役の首相を毎年呼んでですね、1時間も講演させるという会合は他にはないのではないかと思いますが、依頼がございまして、やってまいりました次第です。
 また、昨年ですね、ついついこの場で(テニスの)全米オープン準優勝の錦織(圭)選手の言葉を借りて、来年もまたここに戻ってきますなどと言ってしまいましたので、言ったことは必ず実現するという安倍政権の基本姿勢でありますから、年の瀬ぎりぎりの駆け込みでありますが、今日12月14日といえば、赤穂浪士の討ち入りでございますが、討ち入りさながらに皆さんとの約束を果たせすために、やってまいりました次第です。
 前回、皆さんの前でお話をしていただいてから1年余り、本当にたくさんのことがありました。昨年は9月19日にこの場に立っていました。わずか2カ月後に解散総選挙に打って出る、そんなことは私自身もあの時点では全く考えてなかった、一応そういうことにさせていただきたいと思います。
 平成24年の衆院選に続き、与党で3分の2を超える議席をいただくことができました。その結果、今年も現役の首相として皆さんにお目にかかることができています。現役の首相でなければ、なかなか呼んでいただけなかったと思います。
 1年で3度にわたる日中首脳会談、日中韓サミットも復活し、日韓首脳会談も行いました。こんな東アジア外交の急展開は誰も予測していなかったのではないでしょうか。
 隣国同士、さまざまな課題があります。先般の東アジアサミットでは南シナ海をめぐって海の平和と安全、航行の自由の確保、埋め立て行為など、一方的な現状変更の自制がまさに主要なテーマとなりました。
 大変緊張感の高い首脳会合となりましたが、議長声明には南シナ海で中国およびASEAN東南アジア諸国連合)加盟諸国が行動に自制を働かせ、武力による威嚇または武力の行使には訴えない、そして国際法にのっとって紛争と平和的手段によって解決すべきことが最終的に盛り込まれました。
 他方で(中国の)李克強首相、そしてパリでは習近平国家主席と短時間ではありましたが、立ち話をし、戦略的互恵関係を着実に発展させる意思を確認しました。懸案があるからこそ、首脳同士がしっかりと対話することが重要であります。私の主張が地球儀を俯瞰する外交を展開するなかで、着実に浸透しつつあると感じております。
 若干さかのぼりますが、ゴールデンウイークには米国の上下両院合同会議において日本の首相として初めて演説を行いました。かつて戦火を交えた日米両国は今や自由、民主主義、人権、法の支配といった基本的価値で結ばれた揺るぎない同盟国となり、その絆は現在かつてない強固なものとなっています。
 
 通常国会では戦後最長となる延長を行い、平和安全法制を無事成立させることができました。戦争に巻き込まれるといった無責任な批判が行われました。自民党は今年立党60年を迎えましたが、安全保障政策を論じるために同じようなレッテル張りが繰り返されてきました。
 
  しかし、日米安保条約の改定、国連平和維持活動(PKO)法の制定、自民党の先人たちはそうした批判を恐れることなく、たじろぐことなく行動してまいりました。そうした責任ある行動が戦後70年にわたって、わが国の平和を守り続けてきた、そのことは歴史が証明しています。私たちもまた、先人たちにならい、切れ目のない対応を可能とすることで抑止力を高め、国民の命と平和な暮らしを守り抜く、その法的基板を築くことができました。子や孫の世代のためにしっかりと責任を果たしていくことができた、そう確信しています。
 
  8月には戦後70年にあたって首相談話を閣議決定しました。3年前の政権発足以来、ことあるごとにマスコミの皆さんから質問を受けてきたテーマですが、今やこの談話が話題に上ることはほとんどありません。私はそれが何よりの結果だろうと考えています。これまで歴史認識をめぐっては国内で左右で激しい論争が繰り替えされてきました。そのことがこの問題を政治問題、外交問題化する一因となってまいりました。しかし、日本国民の間で実は一定の認識が共有されているのではないか、これらを21世紀構想懇談会の有識者の皆さんの力を借りて、浮かび上がらせ、談話のなかに落とし込もうと考え、努めてまいりました。その結果、多くの国民の皆さんと共有できる談話を作成することができた。これからの戦後80年、90年、さらには100年に向けて国民とともに目指すべき日本の姿をしっかりと描くことができたと考えています。
 
  この1カ月ほどは軽減税率が大変な議論となりましたが、谷垣(禎一)幹事長にしっかりとまとめていただきました。国内にとどまることなく北京に出かけてまでも連日、井上(義久)幹事長と協議を続けていただきました。自民、公明両党はそれぞれの持ち味を生かしながら、真摯(しんし)かつ誠実な議論を積み重ね、最善の結果が得られたと考えています。そうこうしているうちに、あっという間に年の瀬、盛りだくさんの1年でありました。
 
  この1年間の教訓は一言で言えば来年も何が起こるか分からないということであります。伊勢志摩サミット(主要国首脳会議)もありますし、参院選もあります。そうしたなかで鬼が笑うような来年のことを皆さまの前で話すのはやめた方がよい、これが教訓あります。
 
  先ほど司会の方から言われた「新記録に挑戦すれば」という言葉も魅力的な言葉でございました(笑)。
 
  その錦織選手は13歳から米国にテニス留学し、世界のトッププレーヤーたちに囲まれて成長してきました。だから世界のひのき舞台でも物おじしない、世界と台頭に渡り合うのは錦織選手にとって特別なことではなく日常のことです。
 
  フィギュアスケートの羽生(結弦)選手も先月世界最高の300点超えを成し遂げました。その直後、「まだやれる」とインタビューで答えていましたが、「本当にできるのかなあ」と私も思っていましたが、見事、有言実行、昨日自らの世界最高点をさらに塗り替え、歴史上初のグランプリファイナル3連覇を達成しました。新しい世代は大変たくましいと感じています。もはや、まず国内でチャンピオンになってから世界へという考え方は時代遅れ、最初から世界の舞台に飛び込み、世界チャンピオンをめざす、そうした発想へと転換することで、日本はさらなる可能性を開花できるはずであります。
 
  環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)はその最初の大きな一歩であります。日本がリードして世界の大きな経済圏をつくりあげていく、海外の活力を日本の成長へと取り込んで参ります。小さな世界チャンピオンと先日欧州で出会いました。パリでの国連気候変動枠組み条約第21回締約国会議(COP21)の後、ルクセンブルクを公式訪問いたしました。小国だが世界の金融センターであり、1人当たり名目国内総生産(GDP)は世界一であります。その晩餐会(ばんさんかい)で何と日本から輸入した黒ニンニクが登場しました。ベッテル首相からも紹介があり、輸入票にも青森県産と明記されてました。見た目はトリュフのように上品で、味は甘酸っぱい、あのニンニク特有のにおいは全くありません。
 
  2泊4日の強行軍で正直、へとへとでありましたが、最後にこういう欧州の地で日本の食に出会えたこと喜び感じ、疲れも吹っ飛ぶ思いでありました。青森県はニンニク生産量日本一であります。しかし生産地でそのまま売るだけでは農家の手取りは増えません。市場価格に左右されないよう、加工してから出荷して、販路を広げ独自産業化で付加価値をもっとつける、そうした青森の農家の皆さんの情熱が一気に世界へと羽ばたきました。開発からわずか7年で全米制覇、フルーツ感覚で健康や美容によいと話題です。「スリーアンドマイルド」と書かれたパッケージで、全米のスーパー400店舗で年間12万袋を売り上げるヒット商品となりました。
 
  さらに現在米国に止まらず、世界24カ国以上で販路を開拓しています。そのたどり着いた先がルクセンブルク首相府の食卓でありました。日本では朝早く起きて額に汗して草を引き、精魂こめて作物をこしらえる、その長い伝統があります。歴史に裏打ちされた安全でおいしい日本の農作物は、必ずや世界のマーケットでも高く評価されるはずであります。農産物輸出の世界第2位は日本よりはるかに国土の小さいオランダです。トマトなど青果物では国内消費の3倍、チーズなど乳製品では国内消費の2倍近い農産物を輸出しています。日本でもできないはずはありません。
 
  攻めの農政という旗を安倍内閣が掲げて以来、日本の農産物輸出は2年連続で過去最高を更新し、昨年は6000億円を超えました。今年は10月時点ですでに6000億円を突破、昨年を20%以上上回る勢いで、このままでいけば7000億円を超えそうです。
 
 
これ『安倍首相講演(1)「私の主張が中国や韓国に着実に浸透」』と題した産経新聞1214日(月)1545分の記事である。
 
 
 この自信どこから来るのか。人間の評価は自分がするものではない。それは他人がするものである。完全に他人(ひと)を食ってる。抗議したい。