「政高党低」の自民党にあるからこそ安倍さんは謙虚であるべきだ

 「政高党低」と言われるとおり、リベラル派の谷垣禎一幹事長ら党幹部が安倍首相に抵抗する気配はない。
かつてのように党内で活発な議論が交わされる場面がめっきり少なくなった自民党を、古賀誠(こが・まこと)元自民党幹事長(74)はどう見ているのか。
 何より危機感を感じるのは、政党による政府へのチェック機能が著しく劣化しているのではないかという点です。
政府の出す法律は与党による事前承認が必要で、自民党でいえば部会で侃々諤々(かんかんがくがく)の議論をしたものを政務調査会に上げ、最終的に最高意思決定機関である総務会に諮って、初めて法律として国会に提出できる。
そうやって、歴代の自民党政権はバランスのとれた法律をつくってきました。
ところが今は、部会や政調、総務会で何か言うと「安倍さんに反対している」と直結させられてしまう雰囲気だといわれています。党の部会の議事録を読んでも技術論ばかりで、集団的自衛権の行使をなぜ今、問う必要があるのかなど、根っこの議論が何一つない。非常に憂慮すべき状況です。
――古賀氏はかつて党内のリベラル派を代表する「宏池会」の領袖を務め、今も党内ににらみをきかせている。今秋の自民党総裁選をめぐっては、野田聖子氏、岸田文雄氏などの擁立を水面下で目指しているとも報じられる。
よく野田氏がどうとか固有名詞を言われますが、政治家としての集大成として自分に課せられた仕事の一つは、健全な政党政治を守ることだと考えています。
安倍首相も実は、困っていると思いますよ。党内の議論もなくあっという間に進んでしまうと、どんどん右にいくしかなくなる。振り上げたこぶしを下ろす場がなくなってしまうのです。
党内での議論があって切磋琢磨すればいろいろな知恵も出てくるし、安倍首相だってハト派の意見も組み入れた、という場面が欲しいかもしれない。
そういう意味でも、ベテランの二階俊博総務会長には存在感を示してほしいし、期待します。倒閣うんぬんではなく、やはり、対抗勢力があって初めて健全な政党と言えるのではないでしょうか。
自民党がこんな状態になったのは小選挙区制で党の執行部に権限が集中したからだとも言われますが、私はそれだけではないと思う。
国会議員一人ひとりの覚悟の問題です。なぜ政治を志したのかという気概や見識を、今の議員は失ってきている。健全な政党政治を行う力量と経験は、今の日本では残念ながら自民党にしかない。現役世代の国会議員たちには、奮起せよ、と言いたいです。

これ 『古賀誠自民党幹事長「安倍首相に対抗する勢力必要だ」』とした週刊朝日 2015年3月6日号の記事である。

 古賀誠自民党幹事長だけでなく、山崎拓自民党副総裁そして自民党総裁でありながら首相になれなかった唯二の男河野洋平衆院議長も同じ苦言を呈してる。確かに旧来の自民党の重鎮であるお三方の主張はごもっともである。が多分に、悔しさのヤッカミが殆どと思われる。自分たちが安倍さんと同じように権力を握ってトップを頂いていたらそうでも無かったと思われる。要するに事の良し悪しは別として、権力者として歴代の自民党総裁として日本のトップとして、その功績と思われる実績が史上に残る証として自分らがやれたとの思いがあるからだろうと言うのが私の見方である。おそらくそう見れば、安倍首相なんぞ、権力をとってやれなかった者の犬の遠吠えとさぞ細く笑んでいる事と思気に等してないだろうと私は思と言えば言過ぎだろうか。とにかく権力者は絶対で強いものである。いづれにしても安倍さんは幸運なお方である。逆説すればだったら何をやっても良い事にはならない事だけは肝に命じた方が良い。必ずしっぺ返しが来るからである。