大阪府・市でのトップ責任者のイベント失敗に私費を投入の報での役人識者の考え方

 大阪府・市と経済界で出資した大阪観光局が、今春開催した国際音楽イベントで約9400万円の赤字を出した責任を取り、実行委員長を務めた加納国雄局長が約2700万円を借金し“自腹補填(ほてん)”した問題が波紋を呼んでいる。「税金に手をつけられない」というのがその理由で、橋下徹大阪市長は「すごい責任の取り方だ」と評価するが、市議会からは「自己負担したからといって責任を取ったことにはならない」と批判する声も上がっている。
 ■「迷惑かけられぬ」
 「納税者の金に手をつけないでやっていかなければならず、ご迷惑をかけたくなかった」
 加納氏は10月22日の記者会見で赤字について釈明。約2700万円を借金で工面したことを明かした。観光局が昨冬開いたイベント「大阪城3Dマッピング」の収益から6700万円を賄った残り約2700万円を自己負担したという。
 問題となったのは4月末に行われた「大阪国際音楽フェスティバル」。会場の大阪城西の丸庭園に世界的ジャズミュージシャンが集う「インターナショナル・ジャズデイ」や韓国のアイドルらによるライブなどで構成されていた。
 観光局内には赤字を懸念する声もあったが、加納氏が大阪の知名度アップにつながると「かなり強引に開催しようと頑張った」(加納氏)。しかし、開催がぎりぎりに決まり告知期間が短かったことなどが影響し、来場者が低迷。韓国の旅客船沈没事故でライブが自粛に追い込まれた不運も重なり、収益が見込みより大幅に縮小した。イベント保険に加入していなかった不手際もあり大赤字を余儀なくされた。
 ■成功体験があだ
 トップの責任とはいえ、加納氏が借金してまで補填した背景に何があるのか。
 観光局は橋下市長や松井一郎知事の肝いりで昨年4月に発足。加納氏は香港政府観光局の日本・韓国地区局長として観光客増に尽力した手腕を買われ、初代局長に就いた。「大阪を訪れる外国人旅行者を平成32年に650万人にする」という大目標を掲げ、初年の目標260万人を達成。今年の目標320万人突破も確実視されるなど、順調に実績を積み重ねていた。
 ただ、松井知事は当初、「権限もある代わりに責任も取っていただく」と忠告しており、関係者は「自分を引き立ててくれた松井知事らに迷惑をかけられないと思ったのでは」と推察。「無理な計画を推し進めた責任を感じているのだろう」との指摘もある。
 ■ガバナンスにも問題
 ただ、私費補填という手法には賛否が分かれる。10月22日の大阪市議会では、自民党市議が「そもそもガバナンスに大きな問題があり、自己負担して責任を果たしたと思っていることも問題だ」と非難した。
 それに対し、橋下市長は市の土地信託事業の複合ビル「オーク200」が破綻して600億円超の赤字を出したことを引き合いに、「賠償は誰が責任を負うのか。議員や僕ではできない」と語気を強め、加納氏を擁護した。
 ■関西学院大学の石原俊彦教授(公共経営学)の話 「私費で赤字を補填したのは異常事態だが、法律的には問題ない。行政が赤字を出しても誰も責任を取らない中で、自腹を切った局長は潔いといえる。ただ、大阪観光局のガバナンスにも問題があり、巨額の赤字を出す前にチェックできる仕組み作りが重要だ」
 ■龍谷大学の富野暉一郎(きいちろう)教授(地方自治論)の話 「大阪観光局は行政の金も入っている団体なので私費補填は奇妙な話で、望ましいことではない。組織として企画したイベントなのだから、個人で責任をかぶるのではなく、組織としての責任の取り方を探るのが適切なやり方だったのではないか」

これ『大阪観光局長の“自腹補填問題”に賛否両論 橋下市長「すごい」と評価』と題した産経新聞 11月9日(日)11時1分の配信記事である。

 私はいつも思う。こういう場合の政治屋や学者・役人の反応である。ところが橋下大阪市長は違った。この責任の取り方を称賛したからである。
 こう言う場合は全ての関係者は、私費での責任の取り方を批判するだろう。何故なら、心では橋下大阪市長と同じでも、これが常態化するのを危惧するからである。もしも、日本の財政も、このようにまでしなくても、このように考えてしてくれてれば、もっと違っていただろうと思うのである。それだけ自己中になってしまっている、政官人種である。自負する訳では無いが我々団塊の世代はそう考える人間多いと思う。団塊の世代未満の戦後世代には決して理解出来ない考え方だと私は思っている。そう言う教育をした責任は我々にあるが、余りにも他人を考えない、気遣いの無い自己中心的考えが今後も続けば、この国日本国は列国の主導的先進の国から滑り落ちるは確実と言える。いづれにしても残念であり、悲しい事である。