岡山県の教育長・校長ら「大量処分」の報、これ慢性的不治の病である

 岡山県で2月に行われた公立高入試で採点ミスが多数見つかり、県教委などは3月末、県教育長をはじめ各校長や採点を担当した教員ら計532人の大量処分を行った。ミスは38校の受験生400人分の答案の計419カ所に上り、「合否には影響なかった」というが、入試がらみでは同県教委始まって以来の大量処分となった。また県教委が原因究明を本格化させる前に処分だけを先行させ、しかも定期人事異動の発表当日に公表したことにも批判が出ている。前代未聞の不祥事の裏には何があったのか。
 
 ■まさかのミスがぼろぼろと
 同県の公立高校入試は、「特別選抜入試」とその後に実施する「一般入試」の二つからなる独自の制度を採用している、今年度から始まった特別選抜入試は、学力考査主体の一般入試と異なり、面接や作文、小論文、実技などにウエートを置き学生を選抜するもの。受験生は一般入試との重複受験もできる。
 採点ミスは、2月13日に県立高と県内の市立高計46校で行われ、8000人余りが受験した特別選抜入試で起きた。
 県教委が採点後、約1割の答案を抽出してチェックしたところ、4校37人分の答案の37カ所で、点数を誤ってつけるなどのミスが発覚。そこで急遽、すべての受験生の答案を点検したところ、県立高35校で410カ所のミスが見つかった。同様に市立高3校でも計9カ所のミスが発覚した。
 県教委によると、県立高のミスの内訳は、部分点の付け方の誤りが最も多く211件。誤答を正答としたケースが95件で、逆に正答を誤答としたのが55件。さらに個々の問題の配点間違いが31件、合計点数の計算間違いが18件だった。
 同入試は国語、数学、英語の3教科で210点満点。最も大きな“誤差”としては、本来の得点より10点高い受験生がいたという。しかし、全体で合否への影響はなかったといい、合格者の取り消しや繰り上げ合格などは不要だとしている。
 
 ■なぜ急いで処分を?
 採点は一つの答案につき、教員3人による「三重チェック」を行う決まりになっていた。なのに、なぜミスが見逃されてしてしまったのか。
 県教委は原因について、「教員同士が依存し合い、十分にチェック機能が働かなかった」「試験日から内定通知までの期間が昨年度よりも短くなり、日程がタイトだったことが影響したかもしれない」などと説明したが、具体例など詳細は示さなかった。
 さらに、「入試当日に踏切事故があり、試験開始を1時間遅らせたため現場が混乱したようで、それが遠因になったかもしれない」とも述べたが、入試当日の“混乱”と採点がどう関係するのか。やはり詳しい説明はなかった。
 県教委は原因究明のため4月中に検討組織を立ち上げ、夏をめどにミスの原因究明と再発防止策をとりまとめたいとするが、具体的なスケジュールは決まっていない。
 それなのに処分のほうは慌ただしく行われた。全体の処分のうち、県教委分は501人。竹井千庫教育長が懲戒戒告となったほか、ミスのあった35高校の校長35人や副校長、一般教員ら498人と、教委事務局の2人が文書訓告や厳重注意に。また市立の高校側も教員らが厳重注意処分などとなった。
 
 ■“火消し”も知事はカンカン
 県教委の大量処分が行われた3月26日は、県教委が春の定期人事異動を発表した当日。文書訓告を受けた教育次長が新年度から県立高の校長に就任し、各校の校長の多くが転任や退任する異動が発表された。処分を担当する教育政策課は「同じ日になったのは偶然だ」というが、うがった見方をするなら、異動を予定通り実施するため、取り急ぎ“火消し”をした-ととれなくもない。
 さらに県教委は、検討組織が入試システムに問題があるなど何らかの結論を出した場合でも「追加の処分は行わない」といい、「システムの改正や工夫で再発を防止する」としている。
 岡山県は、就任2年目の伊原木隆太知事が「教育県・岡山の復活」を旗印に教育に関する施策に力を入れる。小6で全国38位、中3で32位の全国学力テストの成績を平成28年度までに10位以内に引き上げる-との目標もかかげる。
 手始めに新年度から、学力向上などに顕著な成果をあげた小中学校に100万円の奨励金を支給する「がんばる学校支援事業」をスタートさせたばかりだ。
 その矢先の不祥事に知事も怒りを隠せず、県教委や学校に対し「入試というのは人の人生を変えること。人の人生を左右しているんだという自覚を持って真剣に取り組んでもらいたい」と注文をつけた。
 さらに「ダブルならぬトリプルチェックをしていたというのに…。チェックに対して、もう少し真剣に取り組んでもらわないと。従来は真剣さが足りなかったんじゃないか」と苦言も。
 
 ■ユニーク入試の弊害?
 同県の入試は17年度から25年度まで「自己推薦入試」という制度を採用していた。学力だけでなく、生徒の人柄や部活動などの実績を総合的に判断する制度で、中学校の調査書、志願理由書、面接・適性検査を合否の資料とし、試験は「適性試験」だけだった。
 しかし役目を終えたとして廃止。代わって今年度から3教科の試験を課す「特別選抜入試」を始めた。県教委としては、制度の切り替えで新たに受験生が増え、採点の十分な時間がとれず、気配りもできなかった-ということかもしれない。それなら準備不足を責められても仕方ないところだが、県教委は「ミスがあったから特別選抜をやめるという選択肢は考えていない。どうやってミスをなくすかを検討し防止策を講じて、次年度に生かしていく」という。
 公立校の採点ミスは大阪府でも問題になった。府教委によれば、今春の府立高入試で採点ミスなどが25校で37件あった。昨春も採点ミスで8人を誤って不合格としたため、今春は対策を強化したが、それでもミスは防げなかった。ミスの原因は現時点で不明で、今後検証するという。
 岡山の場合、大阪の例と単純比較はできないが、件数は圧倒的に多く、しかも県教委は人為的なミスだと認めている。ミスの原因を本格的に究明し、再発防止策をきちんと講じなれば、受験生や保護者の不安は払拭できないだろう。

これ「教育長・校長ら532人「大量処分」の異常、岡山県教委と教師の“怠慢ぶり”」と題した産経新聞4月5日20:49の報道記事である。

 この記事を見れば、ようやく本来の教育行政の弊害が出て来たと言って良い。教師と言う職業は本来聖職と言われ、公務の職でも異質なジャンルだった。つまりは世の常識の通じない唯一の職場であると言った方が良いのかも知れない。何故ならこの教育行政には民間企業の上司・部下の関係が存在しないからである。この組織形態、教育委員会が全てを握っているからである。教師は全て校長と教頭(今は副校長)以外は横並びと同じだからである。その証は、教師同士を何々先生と姓の下に先生と付けて呼び合うからである。こんな事普通の日本の民間企業では有り得ない事である。時たま社長や部長をさんづけで呼び合う企業もあるが、微々たるものである。そして究極の弊害は、相手教師のやり方に踏み込まない事である。教師も人間である。思い違いや思い込み等あり得る。それを防ぐ意味もあっての二重三重のチェック体制が、前記した「相手教師のやり方に踏み込まない」主義、つまり良し悪し別に担当教師を信用し任せると言う事になってしまうからである。だから元々チェック等働かないのである。これを時間が無かったとか、忙しかったと言うのは、詭弁でしかない。そうやってこの教育行政ここに来てしまったのである。昔より、みんなの常識先生の非常識とと言われて来た。これ当たり前である。だってどこでも使っている電話、学校にあっては、県と市役所の教育委員会、あるいは昼食時の出前の時あるいはPTA役員の電話しか外部の接点無い。話すのもガキに近い社会人前の子供である。自ずから常識の世界との接点殆ど無いに等しいから、無理も無いと言える。こうして40年も務めると、その考え化石のようになってしまって、とてもじゃないが、普通の民間人とは対等な時事的話等出来無いのである。だからこの岡山の教育問題、起こるべくして起こった事件と言え、他県でも批判出来ず、同じ穴の何とかと言えるのである。これ慢性的不治の病といえる。