日本維新の会の石原慎太郎共同代表は24日、憲法改正や原子力政策をめぐり自身と党の方針が異なる場合には離党する可能性を明らかにした。「東西」の亀裂が深まるばかりの維新だが、分裂せずに今日に至る背景にあるのは、橋下徹共同代表(大阪市長)と石原氏の良好な関係だ。石原氏の発言を本気にしない空気もあるが、橋下氏サイドは神経をとがらせている。
■結いと共通項ない
「党が改憲しないようなことを言い出したら、そんなことになる」
石原氏は24日、国会内で記者団に対しこう答えた。トルコなどへの原発輸出を可能にする原子力協定に関しても「原子力政策を全部否定することになれば、自分の文明論に反する。党を辞めないわけにはいかない」と語った。
石原氏は23日に共同通信のインタビューに応じており、ここでも「(党内対立が)決定的なものだったら党を割ってもいい」と語っている。橋下氏が主導して結いの党と政策協議を進めていることには「(結いは)護憲政党だ。何の共通項もない」とし、自民党への合流や同党との連立の可能性も触れた。
これに対し、松井一郎幹事長(大阪府知事)は府庁で記者団に「エネルギー問題は全く考え方が違うわけがない。党の全員が憲法を変えるべきやと思っている。(結いも)改憲は必要やと言っている」と強調。松野頼久国会議員団幹事長は「(離党は)あり得ない」と沈静化に努めた。
それでも、松井氏らは真意を測りかねている。石原氏は23日の両院議員総会で若手議員に対し「俺はそんなにとっつきにくい人間か。膝をつき合わせる機会をつくろう。缶ビールやカップ酒を飲みながら…。大事な公約だ」と呼びかけていたからだ。しかも「公約」は、石原氏が「パッショネート(情熱的)」な政治家として心を許している橋下氏から「時々、若い人と一杯飲んでほしい」と頼まれて提案したものだ。
石原氏の狙いは一体、どこにあるのか。
石原氏が毛嫌いする結いとの合流に前向きなのは、橋下氏に近い大阪系。その大阪系は石原氏ら旧太陽系を分離した上での野党再編を視野に入れる。橋下氏が大阪都構想に専念している間に、主導権を握り、離党カードをちらつかせ、大阪系をなだめすかしながら黙らせる-。石原氏の発言にはそんな思いもちらつく。
効果は、多少はあったようだ。在阪党幹部に近い議員は「いくら言い合ってても親子関係みたいなもので、東西の絆は1年間一緒にやってきて、強い。同じ屋根の下でやってるんやから、もっと胸襟を開いて、かわいいお年寄りになってほしい」と逆になだめに入っている。
石原氏の不満をよそに、維新と結いは24日夜、合流に向けた政調会長レベルによる1回目の協議を都内で開いた。
これ「石原氏が離党言及 本気か愚痴か、大阪系ピリピリ」と題した産経新聞1月25日8:37の報道である。