一度死んだ安倍首相である、二度死ぬつもりで消費税アップやれば展望開く?

【東京】安倍晋三首相はこの秋、日本経済再生に向けた思い切った計画が次の段階に入るときに、これまで避けてきた厄介な問いに答えざるを得なくなるだろう。今までに出した成果を後退させることなく、痛みを伴う増税にどう対処するか、という問いだ。
 安倍氏が主導した大幅な政策シフトに対する当初の興奮が薄れ、エコノミストや議員らの注目は来年4月に予定されている消費増税に移りつつある。この消費増税は、日本国債市場の安定を保ち、莫大(ばくだい)な政府借り入れの抑制に向けた重要な手段だと賛成派は主張する。ただ、最近は増税撤回を求める批判の声が高まっている。一部野党は21日の参院選をにらみ、反消費税を公約に掲げている。
 与党・自民党の中にすら、増税の再考を促す党員がいる。石破茂幹事長は6月初めの記者会見で、消費増税が景気に及ぼす影響を考える必要があると述べ、「まず引き上げありき」でないのは当然だとの認識を示した。
 安倍氏はこれまでのところ、計画を貫く姿勢を示している。最終決定は、10月頃に下される見通しであることから、必要な準備をするための時間は十分にある。8月半ばに発表される4-6月期の経済成長率も、決定を左右する重要な要素になりそうだ。消費増税関連法により、政府は増税実施前に景気回復が着実に進行しているかを判断する必要がある。安倍氏は自身の結論のカギを握るデータの1つとして経済成長率を挙げてきた。
 莫大な債務を減らし、ギリシャ型の財政危機を避ける手段として、前政権は昨年5%から8%への消費増税を約束した。しかし、これは消費者や企業が買うほとんどすべての物の価格を押し上げることになり、景気の大きな足かせになるだろう。そのためエコノミストらは、安倍政権が実施した刺激策の効果を消し去りかねないとみている。
 米欧で緊縮財政か景気刺激かという議論があるのと同様、増税が良策なのかどうかという点でエコノミストの見解は分かれている。政府債務が国内総生産GDP)の200%を超え、抑制のない国債発行を行っている国の代表格とみられている日本が、デフレを抜け出せず成長が再開したばかりの状況にあっても大規模な緊縮を進めるべきかどうか疑問なためだ。
 ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)が6月24日~7月1日、世界のエコノミストを対象に行った調査では、回答者の36%が増税に「強く」賛成した一方、12%は「強く」反対していた。残りは「ある程度の」賛成と「ある程度の」反対が同率だった。
 賛成派は、増税を延期すれば日本の債務水準を管理する能力に対する懸念が増幅し、国債の格下げを呼び、金融市場の混乱を招く恐れがあると言う。
 野村インターナショナル(ロンドン)のシニア政治アナリスト、アラステア・ニュートン氏は「今年の景気動向を考えると、消費増税を延期する言い訳は全く見当たらない」と述べた。「延期となれば、海外の(日本国債)投資家の信頼が完全になくなり、かなり痛烈な反応があるだろう」という。
 安倍氏は単純に増税を延期し、これまでに発表した刺激策の効果が経済に行き渡る機会を作るべきだとの意見も聞かれる。
 スタンダード・アンド・プアーズのチーフグローバルエコノミスト、ポール・シアード氏は、増税が「また時期尚早な引き締めという新たな政策ミスにつながり、デフレ収束に反するのではないかと少し不安だ」と述べた。ディシジョン・エコノミクス(ニューヨーク)のチーフグローバルエコノミスト、アラン・サイナイ氏は「増税は間違った政策だ。税収は景気循環の中で回復する」との見方を示した。
 安倍氏に近い当局者の中にも、増税への疑問を口にする向きがいる。エール大学名誉教授で安倍氏の金融政策のアドバイザーである浜田宏一氏もその1人。6月に毎日新聞とのインタビューで、来春の増税は「消費を冷やし金融緩和の効果を消してしまう」ため反対だと述べている。
 内閣府ですら、消費税の1%引き上げでGDPが約0.5%ポイント、300億ドル(約3兆円)減ると試算している。
 消費税の扱いの決定は、安倍氏が政策に対する信頼感を高めるために今後数カ月で答えなければならない質問の1つだ。昨年12月に首相に就任して以来、同氏は驚くほど多くの施策を発表しており、相場を押し上げ、経済の一部に活力を吹き込んだ。ここ数週にかなりの調整が入った後でも、日本株は12月の安倍氏の首相就任時より40%高く、ドルの対円レートは20%上昇している。
 持続可能な成長を確実にするために、大胆な政策を発表するとともに発表済みの政策を実施に移すなどして、安倍氏構造改革と成長戦略への取り組みを強めなくてはならないとエコノミストは口をそろえる。経済界や一部のエコノミストは、成長てこ入れの一環として法人税の大幅な引き下げを訴えている。だが、政治家は、広範な消費増税が控えている時期にあっては特に、有権者の受けが良くないとしてやや冷めた見方をしている。
 今のところ、政府は増税が予定通り実施される前提で物事を進めている。安倍氏は先月国会で、消費税が財政健全化に寄与し、「国の信認を確保するという観点から」重要な意義を有すると述べた。その一方で、「せっかく景気がよくなるかもしれない、と多くの方が思い、数値も好転していく兆しが出てきた中で、それをまた元に戻してしまうことになっては元も子もない」として、景気を見極めた上で最終判断する考えを強調した。
 政府当局者はおおむね、4月の増税前に追加予算が必要だと考えている。前回1997年に消費税が5%に引き上げられたときの記憶から、自民党増税による悪影響を真剣に懸念している。 この増税は、日本を景気後退に逆戻りさせたと非難されることも多いから安倍首相であるだ。96年度に2.7%だった成長が翌年0.1%に減速し、税収が総じて減少し財政悪化につながった。ただ、この前回の増税を擁護する人は、成長を阻害したのは97年に始まったアジア通貨危機だと言う。
 財政出動があるとすれば、広範な経済対策の一環として成長戦略を支える複数のプログラムが盛り込まれるだろう。さらに政府は、最も打撃が大きい低所得者層への現金交付と税額控除を組み合わせた何らかの策を導入する見通しだ。新たな刺激策は、増税による影響が最大になりそうな来年4-6月期に確実に実施しようと思えば、来年初めまでに国会を通過させる必要がある。
 

これ「消費増税か延期か、世界のエコノミストの意見も分かれる 」と題したウォール・ストリート・ジャーナル2013年7月8日の記事である。尚、英字版は下記に。
http://jp.wsj.com/article/SB10001424127887324368204578593022761733216.html?mod=JWSJ_EditorsPicks#articleTabs%3Denglisharticle

 
 6年前に政権を投げ出して死んだ安倍首相である。もう一度死んだつもりで、消費税を上げてみたらと言いたい。善し悪し別に賭けと同じようだが、展望が開けるかもしれない」。何故に反発する私がそう言うふうに言うかと言えば、今どんな政策をとろうが、これで万全だと言う政策無いからである。しからば、常人では出来無いこの状況での、カンフル政策、悪いが、一度死んだ安倍首相しか居ないからである。他の方々にはそれを決断出来る人物居ないからである。それぞれそれなりに欲や名誉の塊である。既に宰相を経験してる安倍首相だったら名誉欲ももう無いであろうからである。ましてや、途中で投げ出した政権の負い目もあるだろうもってこいと私は思う。それに野党時代にそれこそしがらみの無い時に出した政策であり、異論は無いであろうと思う。
 思うに現在の政治に携わる方々には「入計出制(量出制入)」の観念無いのではないだろうか。
 「入るを計かり出づるを制す」つまり 「入る(税収)を計かり出づる(歳出)を制す」これを理解してない役人多過ぎる。入る(税収)は降ってくると思ってる。入る(税収)の啓蒙と努力全然してない。と言うより他人(ひと)まかせである。それは誰かがやるだろうとしか考えてない(一番始末困るのが成長率等の数値の期待感である)。だからと言ってしからば出づる(歳出)を考えているかと言えばこちらも他人(ひと)まかせである。だから一向に進歩は無く、いつも予算は前年度比に拘る。これが役人なのである。
 一工夫ほしいが、斬新さを嫌う性格柄、無理は絶対し無い。だからの入る(消費税収)だけの考えに落ち着く。だったら安倍さんやってみたらよい。だって一度死んだ身だ。怖いもの無いだろう。自民党の集大成として歳入を増やす消費税やったらと私は思う。