糖尿病や腎臓病も治せる日がやってくるのか

「糖尿病や腎臓病も治せる日がやってくるiPS細胞が中高年男性に与える“希望の光”とは 」と題した記事がダイヤモンドオンラインに載ってたので紹介したい。
 

 森口尚史氏の大嘘に若干の泥を塗られた感はあったにせよ、京都大学iPS細胞研究所長の山中伸弥教授にノーベル医学生理学賞が共同授与されることは2012年きってのグッドニュースだ。
 受賞理由は「成熟した細胞を、多能性を持つ状態に初期化できることの発見」である――と聞いて、さてどのくらいの人がピンと来るだろうか。iPS細胞って、大体何をしてくれるものなのか。それがどうノーベル賞級にすごくて、私たちの人生に関わってくるのか。12月の授賞式の前に、身近に引き寄せてみよう。
■いまさら聞けない今回のノーベル賞の意義痛んだ臓器を新しく、が基本コンセプト
 まずはiPS細胞がノーベル賞の対象になるに至った経緯を振り返っておこう。
 ヒトの身体は、およそ200種類の細胞が60兆個集まってできている。1つの受精卵から次々に「分化」して、血液、皮膚、骨などそれぞれミッションを持った体細胞になっていくのだ。細胞は、一度分化したらもう二度と戻らない、と1962年までは考えられてきた。
 この常識を覆したのが、今回山中教授と一緒にノーベル賞を受賞する英ケンブリッジ大学ジョン・ガードン名誉教授である。ガードン博士はカエルの腸細胞の核を卵の核に置き換える実験をした。すると細胞分裂が始まってオタマジャクシが誕生した。腸の細胞から子どもができたのだ。一度分化した細胞を、初期化でもう一度万能化できると分かった瞬間だった。ただし、なぜ初期化が起こるかは分からなかった。
 それから35年後の1997年、同じ英国で、ほ乳類の細胞でも同じ初期化ができることが証明された。乳腺の体細胞の核を卵に移植することでヒツジが誕生したのである。乳腺=巨乳の女優にちなんでドリーと名付けられた「クローン羊」誕生のニュースは世界中を駆け巡った。
 翌年、米国でヒトES細胞が作製されたという報告が、さらなる衝撃をもたらした。ヒトの受精卵を、子宮に着床する前に取り出し、バラバラにして培養する。すると永遠に増殖を続けるだけでなく、刺激次第で神経細胞や心筋細胞など目的を持った細胞も作れる万能細胞になるというニュースだった。米ウィスコンシン大学ジェイムズ・トムソン教授によるこの報告は、「病気やケガで失われた臓器や神経を、新しく作って取り替えられる」という人類の夢を現実に引き寄せ、再生医療を一気に加速させた。
しかし、ES細胞の利用には非常に高い壁が立ちふさがっていた。そのまま母親の子宮にいれば人間になれる卵(この段階では胚)を取り出して壊すという、倫理的問題だ。特にカトリック圏では、受精した段階で命の誕生であるという考えが強く、ブッシュ政権下の米国では露骨にES細胞研究への助成金額が引き下げられた。
 倫理的な問題のない細胞を初期化して、ES細胞のような多能性をもった万能細胞に作り替える――これが山中教授の取り組んだテーマだ。分化した細胞を万能細胞に初期化するカギとして同定した遺伝子は4つ。これらの遺伝子を導入することでできる万能細胞は「iPS細胞」と名付けられた。
 マウスでのiPS細胞作製成功は2006年、ヒトでの成功は2007年に発表され、今回のノーベル賞につながった。
■中高年が恐れる糖尿病や腎臓病も治せる!?病態解明、創薬、安全性確認への応用はまもなく
山中教授自身が繰り返しているとおり、iPS細胞から臓器や神経細胞を新しく作って取り替えるのはまだかなり難しく、何十年もかかる話になるが、病態解明の部分ではiPS細胞はすでに応用され始めている。
 iPS細胞から誘導した細胞を使って「病態モデル」を作る試みはその1つだ。病態モデルができれば、なぜその病気になるのかを突き止められる。そうすれば発症や進行を防ぐ、あるいは治してしまえる薬を考えやすくなるからだ。
 iPS細胞を用いた治療というと筋萎縮性側索硬化症(ALS)などの難病や、脊髄損傷などへの応用が想像されがちだが、もっと身近な疾患でもiPS細胞を用いた研究が進んでいるものがある。中高年世代が恐れる糖尿病や腎臓病はその好例だ。
 どちらも患者数が多い一方で、現時点で根本的に治す方法がない病気だ。糖尿病はなったら最後、血糖管理という地道な努力を一生続けなくてはならない。健康的な食事と運動を毎日心がけ、経口薬やインスリン注射を続ける必要があるのだ。努力が実らなければ、ほどなく毛細血管が詰まり、網膜症や手足の神経障害、腎臓病を合併し、失明や手足の壊死、人工透析に至る。心筋梗塞脳卒中を起こすリスクも数倍になるが、現代の医学では糖尿病自体を根治することはできず、合併症を防ぐしか方法がない。
 腎臓病も、現段階では進行を遅らせるしか治療法がない。最終的には週数回の人工透析が必要になり、本人も家族も大変な負担を強いられる。心臓病など他の病気を併発した際の経過もきわめて悪い。透析には患者1人あたり年500~600万円の医療費がかかり、健康保険財政も圧迫する。こうした病気を回復させる薬ができれば、国内だけで何千万人が恩恵を受けるだろうか。
 創薬だけではない。できあがった薬の安全性確認にもiPS細胞は活躍する。心臓に負担をかけないか、肝臓や胃腸、腎臓に毒性を及ぼさないかといった検証を、人体で行う前にiPS細胞から作った心筋細胞や肝細胞で行えば、薬の開発にかかるコストと手間を大幅に減らせる。
 患者個人から皮膚細胞を採取し、iPS細胞から該当の臓器細胞を作って、反応の出方を調べる使い方もあるだろう。抗がん剤など副作用の大きい薬や、患者によって効き方が異なることが分かっている薬では、効くかどうかをあらかじめその患者本人に由来するiPS細胞で調べてから使うのである。iPS細胞のメリットは「患者に優しい医療」というかたちで、もうそこまで来ているのだ。
■臨床応用に一番近い眼疾患「加齢黄斑変性症」パーキンソン病、角膜再生も数年内に臨床試験
 「新しい臓器を作って取り替える」という夢も着々と実現に向かっている。その1つが、視界の中央がゆがんだり黒くなったりする眼疾患、加齢黄斑変性だ。iPS細胞研究の国内4拠点の1つ、理化学研究所発生・再生科学総合研究センター(神戸市)の高橋政代氏らが先日(10月26日)、同疾患に対するiPS細胞を用いた国内初の臨床試験を、理研内の倫理委員会に申請したと発表した。
 試験では、患者自身の皮膚細胞から得たiPS細胞を誘導して網膜色素上皮細胞を作製、数ミリのシート状に成形して移植し、安全性や視力の回復具合を調べる予定だ。5~10人程度への移植を想定している。iPS細胞を用いた再生医療の最大の懸念は移植した細胞が腫瘍化することだが、現在のところ腫瘍ができる傾向はないことが第三者機関で確認されている。毎回同じ品質と機能の細胞ができるかどうかも継続確認中だ。
 目はもともと腫瘍ができにくい臓器だし、変化があれば医師も患者も気づきやすい。レーザー照射などの対症療法や、移植したシートを取り出す処置も可能だ。こうした“万一の際の手の打ちやすさ”に加えて、移植のため作製しなければならない細胞数が数千から1万個程度と比較的少ないことも、iPS細胞臨床応用の一番手になった理由だった。
 臨床実施までの課題はほかにも山積している。網膜色素上皮細胞のシート作製までに何百万円もかかるというコストの問題、何万人もの患者に投与して効果と安全性を確認する薬剤試験と同様の、法的基準をどうクリアするかという問題、取り逃すと治療費の高騰につながる特許の問題、社会や医療界の意識の問題、やればできるであろう生殖医療への応用をどうするかの問題――など挙げたらきりがない。
 それでも臨床応用への流れは加速を続けている。加齢黄斑変性に続き、2015年にはパーキンソン病への臨床試験が、その後には角膜上皮幹細胞疲弊症への臨床試験が控えている。いずれも文科省の「再生医療実現化ハイウェイ」に位置づけられ、国が研究のスピードアップを促している課題だ。10月下旬に決定した政府の緊急経済対策でも、iPS関連には30億円超が割り振られた。
 ただし、森口氏が騙(かた)った心臓への応用はまだ相当先になるだろう。心臓移植の代わりに心筋細胞を移植するなら何百万個もの細胞が必要だが、心筋細胞の作製を効率化する方法はまだ検討段階だからだ。第一、心臓というと一見注目を引きやすいが、何かあれば即患者の死につながる臓器である。実現するとしてもほかの臓器での実績が十分蓄積されてからと考えるほうが自然だ。
 先進各国の研究者がしのぎを削るこの分野で、iPS細胞作製技術を発明した日本が負けるわけにはいかない。強烈な自負が山中教授を筆頭とする研究者やバイオ関連企業、国をせき立てている状況だ。同じ夢と議論を共有しつつ、人類がより健康になれる未来に期待を馳せたい。       (医療ライター 軸丸靖子)
 

 私は合併症で現在、人工透析の一歩手前の「糖尿病腎症」で食事療法の真っ最中です。塩分3g/1食、そしてたんぱく質及びカリュームに制限があります。文字にすれば簡単ですが、腎症早期とは言え大変厳しいです。簡単に言えば、毎食ごはんお茶碗にサラッと一杯だけ、おかわりは出来ません。本当に茶碗にチョビッとです。これではもたないので、低たんぱくご飯にしております。これだと茶碗に普通盛り出来ますがはっきり言って不味いですが、食べれない事ありません。野菜と果物は生ではカリュームが多いため殆ど温野菜です。つまり煮るか焼くと言う事です。手っ取り早く、缶詰を頂きます。後は肉や魚は30gづつくらいです。つまり一口位の大きさと言う事になります。一番辛いのは、ラーメンとお味噌汁が塩分過多で食べれない事です。
 今まで呑む・吸うを自由にして来た結果がこれです。「覆水盆に返らず」「後悔先に立たず」、今返す返すも残念に思ってる毎日です。
 そこにこの記事です。私には朗報ですがもう少し推移を見守りたいと思っております。