今回はあなたに賛成である自民党世耕弘成さん

 民主党が「一応」消費税増税を含む社会保障と税の一体改革案をとりまとめた。
 私は自民党麻生政権末期に消費税増税論議が行われた際も、明確に反対の立場に立っていたが、今もそれは変わらない。
 最大の理由は今回の消費税増税は「財政再建」を最大の目標に行われようとしているが、消費税を増税しても消費が冷え込むので財政再建には必ずしも貢献しないからである。
 平成10年の橋本内閣の当時に消費税は3%から5%に増税された。消費税1%は2兆5000億円に相当するので、単純計算すると税収は5兆円増えるはずだが、実際には景気回復の腰折れが発生して税収減が続き、今日に至るまでに平成10年の税収を上回ったことは一度もないのだ。
 財政再建を真剣に進め、財政健全化の一歩手前まで行ったのは小泉・安倍両内閣だ。小泉内閣発足時の基礎的財政収支プライマリーバランス)28兆円の赤字だった。しかし安倍内閣退陣時には6兆円まで赤字は圧縮されていて、2011年(今年!)には収支が均衡する予定、すなわちこれ以上借金は膨張しない、というところまで行く予定だったのだ。
 小泉・安倍内閣の間、消費税増税はもちろん、大規模な増税は行っていない。にもかかわらず財政赤字を22兆円も圧縮できたのはなぜか。まず歳出面では公共事業を大幅に削減したこと(民主党政権がやっている規模とは比べものにならない10兆円から5兆円への圧縮だった)。さらに社会保障費の伸びを圧縮したこと。そして歳入面では構造改革の効果が出てきて税収が大幅に増えたことである。このように行革で歳出を削り、景気を良くして税収を増やすことこそが財政再建の近道なのだ。官僚がどんな理屈をこねようとも、小泉・安倍内閣の実例が示しているのだ。
 自民党も含む消費税増税派の議員はよくこういう。「危機的な財政状況において、政治家は責任を持って国民に厳しいことをお願いして行かなくてはならない。それが真の政治だ」と。確かにそのことに異論はない。しかしそれがイコール消費税増税になるとは考えない。
 本当に財政再建のために厳しいことをお願いするというのであれば、小泉・安倍政権がやったような社会保障の給付への切り込みと痛みを伴う改革による景気刺激策しかないはずだ。社会保障給付の削減や大胆な構造改革は、各種業界団体から反発も受ける。消費税増税を主張して給付の削減や改革に切り込まない政治家はこの点から逃避しているとしか言えない。逆に消費税の方が楽に「ええ格好」ができるのだ。
 景気の腰折れをさせるだけで、真の財政再建効果の薄い消費税増税には慎重であるべきである。
 
これlivedoor BLOGOSに掲載された自民党世耕弘成さんのブログである。
 

 私は普段よりこの自民党のチビッコ軍団(山本一太世耕弘成)は概ね嫌いであるから当然書いた物も読まないが、たまたまもう1つのブログの関係で目にしたから、今回と相成った次第である。
 
 これを読むと、今回は小泉・安倍両内閣の財政再建云々の話(見方によっては全然違う)を別にすれば、悔しいがその通りであると私も思った。と言う事は政府のこの消費税増税論議、野党をも巻き込み(自公は困るだろうが)ひと波乱おきるのではと思うし、思いたい。