野田新首相菅前首相を反面教師とした組閣に思う

 ここのところのお休みで更新できないで居た記事をまとめて紹介したい」。
 

 野田新内閣の顔ぶれが決まった。

 私は菅前内閣の主流派にはどうしても考え方の違いで好きになれなかったが、当然野田さんも同じであった。がしかし、今回の組閣前の野田さんの行動を見ると、菅前首相と同じ轍は踏まないと言う固い意志が感じられ、そして、党首選からの苦労人らしい、気配りを見せつけられると私は、どう言う訳か野田さんに抱いていた気持ちが、急に変わってしまった。菅内閣時の岡田前幹事長とのA級戦犯的感じがなくなってしまったのである。今までの自民党からの過去の代表選の真っ二つに割れた、怨念の争いを見て来た私は、例え挙党一致と言えども、ほとんどが主流反主流のエゴに悩まされ、挙党一致は絵に描いた餅であった事は紛れも無い事実であった。だがこの野田新首相は、その長年の悪しきルールを、一網打尽としてしまった。これすなわち菅前首相を反面教師とした彼特有の、気配り、気遣いであったと私は見る。
 
 その彼の気配り、気遣い政治は顕著に表れた。まず、菅内閣時の「大連立」を封印し、自公に「低姿勢で」接近した事である。また、最近疎遠になっていた、経済3団体への協力要請である。これらを見ると野田新首相はなかなかしたたかである。普通先にやるべき事であったが、連合との関係で出来なかった理由もあるだろうが、随分と思い切ったものである。これも大震災による復興をスムーズに導きたい表れでもあろうとは思うが、菅前首相と同じ轍は踏まないと言う意味においては、私は歓迎したい。前首相菅直人とは雲泥の差である。
 
 とにかく決戦対立の場合は、得てして真っ二つに割れた人事は必ずや遺恨を残したものだが、野田さんの場合は、岡田前幹事長1人で終わったと言って良い。岡田前幹事長の小沢嫌いは異常である。今回の岡田前幹事長の野田さんに対する支援は、前原に敵対する気持ちと小沢に嫌悪感を抱く気持ちの現われであるとさえ言える。また、現在までの民主党の不信を招いたA級戦犯はこの男だからである。原理原則の男といいながら、計算高い彼は、今回も政権の中枢に入れば、失敗すれば2度目は効かず、政治生命を失うは必定である。だからこその内閣入りの固辞である事は自明の理である。姑息である。私はこう言うの一番嫌いである。
 
 今回の野田さんは、党内融和を第一に掲げ、全党的な人事を断行した結果、約半数の親小沢側から登用されるは道理であるに違いないのだが、岡田前幹事長は我慢ならなかったのであろう。私はこの顔ぶれを見るに、首をかしげたのは安住の財務相と小宮山の厚労相である。少なくとも、政権交代時のマニフェストを堅持しようとする場合には、出来得る器では無いと私は思える。足かせにならない事を祈るのみである。
 
 先日民主党は、前原政調会長の右腕となる新設の「政調会長代行」に仙谷元官房長官を充てる方針を固めた。 私は先に親小沢と見せての後だし仙谷の起用に、野田さんしたたかである。
 
 さてその野田新内閣の今後の最大の使命は、外交的には日本からの放射能の飛散を食い止める事が必要と思われるし、内政的には、2年前の国民が望みを託した民主党政権が民主主義本来の「政治主導」の内閣を実現する事にあった筈であり、官僚を排除するのでは無く彼らにその最大限の力を発揮させる事こそ野田新内閣の最大の使命と思われる。最大の陰の実力者・財務省と外務省の思惑で決定されたかもしれないこの内閣の人事でそれをやり遂げる事こそ野田新首相の本当の進化が問われている。
 
  党内融和を掲げた野田さんに誰も文句は言えない。この野田さんの選択、吉と出るか凶と出るか、今後を注視したい。
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