民・自大連立に大儀はあるか

 先日の衆議院内閣不信任議案採決否決以来、民主、自民両党で5日、「大連立」への積極論が相次いる。菅直人首相が早期退陣の意向を固め、自民党にとっての大きな「障害」がなくなる見通しになったためである。がその背景には「財政健全化には、今後に来るであろう高齢化社会対処を抜本的に解決するための消費税を含めた税制の歳入論議をし、いかに「日本の政治を前に進めるか」と言う、いわば官僚・財務省の悲願を達成するための手段・手法でしかないと私は思う。故にこの大連立には国民不在の不純な動機でしかない。

 この考え方は、2年前の政権交代民主党の主義・主張を後退させる最悪な政策と言えよう。

 民主党の先生方は与党馴れして、本来の国民の意識をお忘れになっていらっしゃる。そもそも何で政権交代が起きたのか、お忘れになっていらっしゃる。何度も同じ事言うようであるが、55年体制の好き勝手に国策をコントロールして来た自民党にNOを突きつけた事にあったのではないか。それが時の政権公約マニフェスト)を破ってまで自民党と共にやる大儀は何処にも無い。と私は思っている。だからこその、ピエロになってしまった鳩山前首相の代議士会での確認事項の1つにも書かれた「自民党政権に逆戻りさせないこと」だったのではないか。私は反対である。今後の見通しも無く消滅するかも知れない自民党の甘言に乗る必要は何処にも無い。
 
 このデフレ不況に国民は喘いでいる、大震災も拍車をかけて。我々国民は今の最大関心事は何か、確かに歳入欠陥を埋める消費税も大事だろう。がチョっと待った。一番の関心事は行政にある。大震災の復興に昼夜を問わぬ行政の職員には頭が下がるが、全国のムダの結晶である、行政のムダを省かずに、国民の理解は得られない。前述の大震災の復興に汗水たらしている職員が居る一方で、未だに海外視察と称し観光気分に浸っている、中央、地方の議員とその高い報酬、それに厚顔無恥を知らずの天下り、そして出来の悪い職員もリストラと給料カットも出来ない、人事院勧告制度の規制、どれをとっても55年体制自民党の悪政の置き土産だったのでは無いのか。だからこそ国民は政権交代をと民主党を選んだ筈ある。それの1つにも手を付けないで何が歳入欠陥の消費税かと言いたい。「他人に強いるならまず自ずから」と言う言葉を忘れたのかと言いたい。
 何度でも言う、政権の甘汁を忘れられない先祖返りの自民党と組んで、立党の精神さえも捨てる気か民主党。まずなすべき事は、無理かも知れないが、菅首相に江戸時代屈指の名君上杉鷹山が次期藩主・治広に家督を譲る際に申し渡した3条からなる藩主としての心得を次期総理に教えてもらいたい気持ちである。その3条とはを次に記す。
 

1. 国家は先祖より子孫に伝え候、国家にして我私すべき物にはこれ無く候。
1. 人民は国家に属したる人民にして我私すべき物にはこれ無く候。
1. 国家人民の為に立たる君にて君の為に立たる国家人民にはこれ無く候。
右3条御遺念有間敷候事。
天明五巳年二月七日   治憲  花押

治広殿  机前