国会議員の当選無効での歳費返還は当然であり議論の余地は無い!

 自民、公明両党は、公選法違反罪で当選無効となった国会議員に歳費返還を義務付けるため、歳費法の改正案を次期国会に提出することで合意した。

 

 当選無効が確定すれば歳費の4割返納を義務付け、起訴や勾留中は4割以上の支給を停止する方向で調整する。4割にしたのは、国家公務員が起訴された際の事例を参考にしたという。

 

 自民党は6月にいったん法改正を先送りした。それから2カ月での与党合意は内閣支持率が落ち込む中、後を絶たない「政治とカネ」の問題に取り組む姿勢を示す思惑があるのだろう。

 

 ただこれまでも、逮捕、起訴された国会議員の歳費返還を巡る法改正は腰砕けになってきた。単なるポーズに終わるなら許されない。国民目線に沿った法改正を、政治が信頼を取り戻す第一歩にする必要がある。

 

 今回の動きは2019年の参院広島選挙区を舞台にした大規模買収事件が発端。有罪が確定して当選無効となった河井案里氏に参院選から、ことし2月の辞職までの約1年半に歳費など4942万円が支払われた。逮捕された昨年6月以降だけでも2千万円以上になる。

 

 逮捕以降一度も国会に出ず、公選法違反の罪で有罪確定した案里氏が歳費を受け取るのは、有権者の感覚からすればありえない。憤った広島県内の住民が歳費などの返還を求める訴訟を起こしたのも、うなずける。

 

 国会議員が歳費支給を停止されない理由は二つある。一つは判決確定までは無罪として扱う刑法の原則。もう一つは「法律の定めるところにより、国庫から相当額の歳費を受ける」という憲法49条の存在である。

 

 国家権力などから不当な攻撃を受けないため、憲法が国会議員の身分を守ることは必要だ。だが憲法が保障するのは議員活動であり、今回のような大規模買収事件の当事者にまで歳費を払うことが求められるのか。歳費返還は可能とする法律の専門家も少なくない。

 

 ましてや案里氏は国会議員になっていない。その案里氏が議員歳費を受け取り、返還の義務がないというのは法の不備としか言いようがない。

 

 改める機会はこれまでもあった。例えば20年以上前のオレンジ共済組合詐欺事件で逮捕された参院議員は、実刑確定までの4年余り、一度も国会に出ないまま1億5千万円以上を受け取った。その時対応していれば、今回の問題は起きなかっただろう。議論はいかにも遅すぎる。

 

 与党は秋の臨時国会に改正案を出す方針だ。総選挙を意識するあまり議論がおろそかになっては困る。野党も含め、しっかりと議論を重ねて国民が納得できる結論をまとめなくてはならない。それが政治の責任だ。

 

 地方議員には既に返還例がある。静岡県焼津市議選を巡り公選法違反罪が確定して当選無効となった元市議に報酬の全額返還が命じられている。全国市議会議長会によると、83市議会が報酬支払い停止や減額の条例を19年末までに定めるなど、制定の動きは広がっているという。

 

 地方議員に適用できて国会議員にできないはずはない。歳費返還を阻む理由が幾つかあるとしても、国民が納得できなければ政治への信頼は失われてしまう。4割ではなく、全額返還も視野に検討を急ぐべきだ。

 

 

これ『【社説】議員歳費の返還 国民目線で法改正急げ』と題した 中国新聞社 2021/08/11 06:49の記事である。

 

 

こんな当たり前の事が議論されて法制化しなければならないところに、今の国会議員の程度が解かると言うものである。

国民目線なんて言う前の人間性の問題であろう。ただその場合の問題は他にある。

不正として解かっていて受け取っても本人に返す意思がない場合の問題だ。金の有無にかかわらず返さない場合だ。それには明確な罰則も設けていないからである。これには法的に作らなければ意味がないと言える。果たして国会議員、自分の事を自分で決められるかが問題である。例え決めたとしてもズル賢い彼らの事だ、抜け道のある法しか作れないだろう。