さまざまな疑惑に対する追求に真摯な態度で答えることもなく、任期満了を待たずに職を投げ出した安倍晋三元首相。しかしその身に司直の手が及ぶ可能性もあるようです。今回の『きっこのメルマガ』では人気ブロガーのきっこさんが、検察審査会が安倍事務所の元公設第1秘書について「不起訴不当」の議決を下した事実を「大手柄」として紹介。その上で、この判断により安倍氏の「疑惑からの逃げ切り」が困難になったとの見方を示しています。
■いよいよ安倍晋三逮捕のカウントダウン!
2012年12月から7年8カ月も続いてしまった悪夢のような第2次以降の安倍政権を振り返ると、経済政策の柱だったアベノミクスは掛け声だけで大失敗、計算方法を変更して盛りに盛った虚構の名目GDPと、日銀を使った自作自演の株価操作で景気回復を演出しただけという「絵に描いた餅」でした。しかし、その一方で、2013年12月の「特定秘密保護法」、2014年7月の「集団的自衛権を容認するための憲法9条の解釈変更」、それに準じた2015年9月の「安保関連法」、2017年6月の「共謀罪」など、国民を監視して戦争のできる国にするための悪法の数々が強行採決や閣議決定で連発されました。
また、二度にわたる消費税の増税と、その裏でこっそり進められた法人税の減税など、富裕層だけが得をして、所得の低い者ほど経済的負担が大きくなる格差拡大路線が突き進められました。しかし、こうした政策上の失敗よりも、多くの国民の記憶に残っているのは、何と言っても「森友学園問題」や「加計学園問題」、「桜を見る会」の問題など、現職の首相自身の関与が疑われた数々の疑惑ではないでしょうか。
これらの疑惑は、担当省庁の官僚や安倍事務所の公設秘書だけが処分され、疑惑の中心にいた安倍晋三首相(当時)や安倍昭恵夫人は何の罪にも問われないばかりか、何の責任も取りませんでした。どの疑惑も真相が解明されないまま、すべてウヤムヤにされてしまったのです。特に最後の1年は「新型コロナ禍」だったため、野党が国会で「桜を見る会」の疑惑を追及すると、国民の中から「いつまで桜をやっているんだ!今はそれどころじゃないだろう!」という声が出るようになってしまったのです。
これは、幼い頃から嘘に嘘を塗り重ねて生きて来た「安倍晋三」という人物の最も得意とする手法でした。決して真実を話さず、名簿や領収書などの証拠を次々と隠蔽し、知らぬ存ぜぬで時間を引き延ばす。そうすれば国民の怒りは、疑惑の中心人物である自分から、いつまでも桜問題ばかりやっいる野党へと移ると考えたのです。結果、安倍晋三氏は、分かっているだけでも最後の1年間で計118回もの虚偽答弁をしたのです。そして、すべての疑惑をウヤムヤにしまま、2020年9月16日、政権を丸投げして、逃げるように辞任してしまいました。
安倍晋三氏は、自分は首相だから、こんな誰でもやっているような小さなことでいちいち追及されるのだろう、首相を辞任すれば、このうるさい追及もなくなるだろう、そう思っていたのかもしれません。嘘をつき続けているうちに、自分でもその嘘を信じ始めてしまう安倍晋三氏のような現実逃避タイプは、常に物事を自分に都合よく解釈するからです。
しかし、世の中はそんなに甘くはありませんでした。安倍晋三氏が首相を辞任してからちょうど半年後の今月3月18日、安倍晋三氏の飼犬として、小渕優子・元経済産業相や甘利明・元経済再生相の事件を握り潰して来た黒川弘務・元東京高検検事長が、賭博罪で「略式起訴」されたのです。東京地検は昨年7月、黒川元検事長を「不起訴」としましたが、検察審査会が12月に「起訴相当」と議決しため、今回、判断を変更したのです。
実は、この「略式起訴」は既定路線でした。もしも今回も東京地検が「不起訴」とすれば、検察審査会は2回目の審査でも「起訴相当」と議決しますので、黒川弘務氏は「強制起訴」され、正式な裁判を受けることになります。そうなると、禁固刑以上の判決が確定した場合、黒川弘務氏は弁護士資格を剥奪され、6,000万円近い退職金も返還しなくてはならないのです。しかし「略式起訴」なら罰金刑で済みますから、弁護士資格も退職金も守られるのです。
ま、これは、かつての仲間に対する東京地検の温情なのかもしれませんが、重要なのは量刑うんぬんではありません。安倍政権下では「不起訴」だった安倍晋三氏の飼犬が、首相が代わったことで、略式と言えど「起訴」されたという事実なのです。もしも今も安倍政権が続いていたら、首相官邸はあらゆる手段を使って司法に介入し、黒川弘務氏を守ったでしょう。
検察審査会の11人の審査員は、裁判員制度と同じく国民の中から「くじ」で選ばれますが、任期は6カ月、数カ月ごとに5~6人ずつ入れ替えになります。11人のうち8人以上が「起訴相当」と判断しなければ強制起訴には持って行けないため、11人のうち4人、官邸の息の掛かった者を紛れ込ませておけば、いくら市民グループが告発しても、小渕優子氏や甘利明氏の時のように逃げ切ることができるのです。
しかし、安倍晋三氏が首相を辞任したことで、検察審査会への首相官邸による政治介入がなくなったようです。その分かりやすい例の1つが、3月12日付で検察審査会が「起訴相当」と議決した、自民党の菅原一秀・前経産相による「公職選挙法違反事件」です。安倍晋三氏の「お友だち」として初入閣を果した菅原一秀氏は、入閣からわずか1カ月で、選挙区内の有権者に香典などを渡していた問題などで辞任に追い込まれ、その後、市民グループから刑事告発されました。
すると、告発を受理した東京地検特捜部は、ロクに捜査も行なわずに、安倍政権下の2020年6月25日、菅原一秀氏を「不起訴」にしたのです。小渕優子氏や甘利明氏の時とまったく同じ流れでした。しかし、安倍晋三氏が辞任して半年後、任期6カ月の検察審査会の審査員11人が全員入れ替わったタイミングの今月3月12日、検察審査会はこの東京地検の「不起訴」の判断に異を唱え、「起訴相当」と議決したのです。東京地検が再び「不起訴」と判断すれば、検察審査会の2回目の審査を経て、菅原一秀氏は「強制起訴」されるのです。
そして、もう1つの分かりやすい例が、これまた安倍官邸の影響力が及ばなくなった今月3月19日に起こりました。安倍晋三氏の「桜を見る会」の前日の夕食会の疑惑をすべて1人でかぶらされ、お約束の「略式起訴」による罰金刑でチャンチャンとなっていた安倍事務所の元公設第1秘書の配川博之氏について、検察審査会は「不起訴不当」と議決したのです。これは「ブラボー!」と叫びながらスタンディングオベーションをしたくなるほどの大手柄です。
そもそも、この「桜を見る会」の問題は、法的には「政治資金規正法違反」の複数の容疑が山積みになっていました。そして、それらをすべて含めると、とても「略式起訴」でお茶を濁すことなどできませんでした。そこで東京地検は、数々の容疑のうち一部を「不起訴」にし、軽微な容疑だけで「略式起訴」に持ち込んだのです。しかし、この姑息な忖度には、大きな落とし穴がありました。
安倍晋三氏や配川博之氏らを刑事告発している全国600人を超える弁護士や法学者のグループは、東京地検が量刑とのツジツマ合わせのために強引に「不起訴」にした「政治資金規正法違反容疑の一部」について、昨年12月に配川博之氏が「略式起訴」となった直後に、「不起訴不当」として第2弾の告発を行なったのです。そして今回、検察審査会も「不起訴不当」と議決したのです。
これにより、東京地検は再度、配川博之氏を捜査し、起訴するかどうかを決めることになります。これも、菅原一秀氏の例と同じく、東京地検が再び「不起訴」と判断すれば、検察審査会の2回目の審査を経て、配川博之氏は「強制起訴」されるのです。そうなれば、禁固刑以上の判決が確定する可能性もあるため、それでも配川博之氏がこれまで通り「すべて私が1人でやった。安倍首相は何も知らなかった」などと法廷で嘘をつき通すかどうか、かつての飼主を守るために濡れ衣を着て刑務所へ行く覚悟があるのかどうか、今後が見ものになります。
安倍晋三氏は、首相を辞任したことで数々の疑惑から逃げ切ったつもりでいるようですが、そうは問屋が卸しても小売店が販売しません。安倍晋三氏による政治私物化という前代未聞の犯罪の数々は、その象徴でもあった首相官邸の影響力が及ばなくなった検察審査会によって、今、着々と外堀が埋められつつあります。そして、何よりも、その中心にいる安倍晋三氏自身の捜査も、昨年12月の第2弾の告発によって、現在、進められているのです。さあ皆さん、いよいよカウントダウンの始まりです!
(『きっこのメルマガ』2021年3月24日号より一部抜粋・文中敬称略)
これ「検察の逆襲。ついに始まった安倍晋三元首相の逮捕カウントダウン」と題した『きっこのメルマガ』2021.03.25 の記事である。
政治に興味を持って注視していた者にとっては正にこの記事は拍手喝采である。
安倍晋三前首相は記録的長期の政権を維持したが、史上稀な低俗と言われる政権の私物化を行った最初の総理大臣として名が残るであろう。岸信介元首相にまつわる名家安倍家に汚名を築く最悪の総理大臣だった。安倍晋太郎さんが立派な政治家だったのに、安倍家としてはこれほどの汚名は無いであろう。やはりこの人は人の上に立つ人間ではなかったのではと思うし、尊父安倍晋太郎さんがかねてより危惧してた「情の無い晋三は政治家にすべきではない」と言う事がいみじくも現実になった事で、流石安倍晋太郎、その息子はやはりバカだった。