この記事を読んで安倍首相の今までの行動に納得!

【小塚かおるの政治メモ】その場しのぎの言い訳だらけ
 税金を使った公的行事を私物化したのではないか、という疑惑が持ち上がっている首相主催の「桜を見る会」。野党は終盤国会の追及テーマをこの問題に絞り、政府は菅義偉官房長官内閣府などが連日、弁明にあたっているが、説明すればするほど矛盾と破綻が露呈、墓穴を掘っているように思える。

 例えば、安倍晋三首相の後援会主催で行われたホテル・ニューオータニでの前夜祭。会費制で行われ、安倍事務所や後援会に収支がないため、政治資金収支報告書に記載する必要はなかったと、安倍首相は話した。

 これについて、政治資金に詳しい学者や弁護士が、「収支がないということは、安倍首相夫妻は会費を払わなかったのか。だとすると、ホテル側の違法献金になる可能性がある」と指摘すると、菅長官は「首相夫妻は飲食をしていないから会費は支払っていない。ゲストのようなもの」と説明。会費制なら飲食しようがしまいが会費を払うのが当たり前だ。それに安倍首相自身が「会費は会場受付で事務所職員が集金した」と言っているのに、安倍夫妻がゲストというのは、苦しい言い訳である。

 マルチ商法で行政指導を受けていた「ジャパンライフ」の元会長が桜を見る会に招かれていた件では、招待状(受付票)に記されていた「60」という区分番号が「首相推薦枠」での招待だったのではないか、と疑われている。招待状の区分番号は内閣府が野党議員に提出した資料に記されており、内閣府自身がこの区分番号を分類に使用していることは間違いない。

 ところが、内閣府職員は「どうやって割り振ったのか今となってはよく分からない」「名簿を廃棄しているので、どういった区分か確かめるすべがない」と言い張るのである。

 誰が聞いても納得できない無理な説明を続けるのはどうしてなのか。それは、安倍首相が桜を見る会の招待者選定に関して、「事務所から相談を受ければ、推薦者について意見を言うこともあった」とはしながらも、「最終的な取りまとめには一切関与していない」と無関係を強調しているからだろう。

 安倍首相の答弁を維持するためには、名簿は出せない。だからシュレッダーで廃棄し、電子データもないことにしたい、ということなのだろう。

 「私は関与してない」の断定口調は、森友学園問題でもそうだった。「私や妻が関係していたら総理大臣も国会議員も辞める」。安倍首相が国会でこう答弁して以降、安倍昭恵夫人の名前が入った書類の存否の確認が始まり、最終的に文書改ざんに至ったと財務省の調査報告書にも記されている。

 安倍首相の言葉こそが、官僚を追い込み、説明の破綻やあってはならない公文書の廃棄・改ざんに至らしめているのだ。決して誤りを認めない、修正すら認めない、強弁し続ける――。どうやら安倍首相の元来の性格に起因するのもではないかと考えずにはいられない。

 安倍首相の父・晋太郎元外相の番記者を務め、安倍首相の人物像に迫る複数の著書を出版している共同通信政治部出身のジャーナリスト・野上忠興氏の取材エピソードがそれを物語る。

 「安倍晋三研究で本人や家族、関係者など50人近い人に会って感じたのは、多感な時期に両親が選挙などのため不在がちで、愛情に飢えていた。それが安倍首相の人間形成に影響したのではないかということです。

 印象に残っているのは、養育係だった久保ウメさんの話。『晋ちゃんは頑固でいじっぱり。自己中心的で、こうと思い込んだら、何が何でもやる』『夏休み最終日に宿題が終わってないと、兄の寛信は涙顔になる。しかし晋三は平気で、宿題をやったよ、と言う。ノートを見ると真っ白なのに、平気で嘘を言って、始業式には元気よく家を出ていった』というのです」

 自己愛が強く、自己防衛が全てに優先される。その場をしのげればいい。そんな安倍少年がそのまま大人になり、首相になったということなのだろう。父・晋太郎元外相は野上氏に「晋三は政治家に必要な情というものがない」と漏らしていたともいう。

 安倍首相の人物像を表す興味深いエピソードをもう1人。政治評論の重鎮である森田実氏が安倍首相と会食した際のことだ。御年87歳の森田氏は、佐藤栄作田中角栄から小泉純一郎福田康夫など歴代数々の首相と直接、会っている。

 2012年12月末に発足した第2次政権の安倍首相とは、2014年10月と2017年7月に2度、二階俊博自民党幹事長も同席して昼食を共にした。
 
 最初の2014年時、森田氏は安倍首相に「一番やりたいことは何ですか?」と聞いた。すると・・・。

 「安倍さんは開口一番『長くやりたい』と言いました。理由は外交に取り組みたいとのことで、『1年くらいでは海外で名前を覚えてもらえない。だから長くやらないとダメだ』とも語っていました。これまでの首相とはずいぶん違うなと驚いたものです。細川護煕首相は『地方自治』、小渕恵三首相は『景気回復』、小泉純一郎首相は『改革』、福田康夫首相は『平和』など、過去の首相は裃を付け、少し気取って、具体的な政策をきちんと答えたのですが、『長くやりたい』と答えられた経験は初めてでした。安倍首相はずいぶん、率直というか、正直というか、軽いというか。2017年の2度目の会食では、『人気の低下が心配だ』と話していましたね」

 安倍首相は11月20日に、通算在職日数で憲政史上最長の2887日を記録した。確かに地球儀俯瞰外交で数多くの国々を回り、名前も覚えてもらえたことだろう。しかし、注力してきた拉致問題は動かず、北方領土問題は後退し、ウィンウィンとされた日米貿易交渉でも実際は日本側が不利な不平等協定であることが徐々に明らかになってきている。目に見える外交成果があったとは言い難い。

 もう十分長くやった。国民が納得できない不誠実な態度を、これ以上、政府が取り続けるのであれば、「美しい国」とは言えないのではないか。

■小塚かおる(日刊現代第一編集局長)
1968年、名古屋市生まれ。東京外国語大学スペイン語学科卒業。関西テレビ放送東京MXテレビを経て、2002年から「日刊ゲンダイ」記者。その間、24年に渡って一貫して政治を担当。著書に『小沢一郎の権力論』、共著に『小沢選挙に学ぶ 人を動かす力』などがある。


これ『「桜を見る会」騒動から見える安倍晋三という首相の人物像と本質』と題したNEWS SOCRA 12/6(金) 11:42の配信記事だ


政治に興味をもって数十年、日本のトップ宰相である安倍首相の行動がいまいち理解できずにいたが、この記事を読んでで納得した。