東日本大震災のための復興税としての消費税3%上げは目論見通りいくか?

  3.11東日本大震災を復興させる財源として今、消費税がまことしやかに議論されている。がそれを司る国会が次の賛否両論及び中間論がある。
 まず、増税派(自民党民主党たちあがれ日本新党改革日本創新党)は「膨大な国債累積の返済を考えれば、増税は不可避。国民から平等に税金を徴税するためには、段階的な消費税増税が必要である。」という立場であり、反対派(公明党共産党国民新党社民党女性党)は国民に負担を強いる安易な増税は、原則、反対という立場であり、中間派(みんなの党幸福実現党超党派議員)は消費税増税の完全反対ではないが、増税ありきでもない。冷静に、対経済成長効果や対税収効果を見極めて判断しようとする立場の3通りである。
 今押し迫って早速復興に掛かる被害額は、内閣府の試算で最大25兆円に上ると推定される、が政府は消費税収は1%あたり年間約2・5兆円で、税率の3%引き上げで約7・5兆円を確保でき、3年間で復興に必要な支出の大半を賄えることになる。との試算である。

 思うに果たしてこの通りの目論見通りいくか、私は疑問であると思う。

 まず第一に、今まで通り消費が活発になるかと言えば、もちろんNOであり逆である。消費税を上げる事による消費の落ち込みが今にも増して顕著になり、もっとデフレが進行し、同時に企業の業績も落ち込み、税収が極端に落ちる筈である。恐らく当局の頭の中に無いものが1つだけある。中小企業と零細企業の消費税特例の、簡易課税の存在である。

 国では、消費税と言うのは商売する人,企業には仮払い仮受けの、仮のお金であると言ってるし、実際その通りである。つまり、受け取り、支払っているにも関わらず、損得上に影響はないのである。これが原則である。しかし我国の9割以上占める中小・零細企業の何割かはこの特例を利用しているのである。専門的になるので詳しくは説明しないが、この簡易課税を選択する事により、税金を払うどころかかえって企業が得するか、あるいは逆に大幅な損をする場合が結構有得るのである。結論的には個人にも、企業にも、今の日本で消費税をたとえ上げたとしても何もかわらないのではないのか。逆にその分消費が落ち込み、またデフレを増長させてしまうだけだと私は思う。要するに政府の机上の目論見通りにはいかないと言うのが私の結論である。

 杞憂に終わればその上無い。そうなる事を祈りたい。
 

※この大震災の復興財源を確保するために昨日政府・民主党内に消費税を引き上げる案が浮上したことについて、自民、公明両党から、反対論が相次いだ。
 民主党岡田克也幹事長が「復興再生債」を発行し、その償還財源を税で担保する考えを示したことについて、自民党石原伸晃幹事長は同日午後、岡田氏との会談で「消費税を増税することは反対だ」と表明。石原氏は会談後、記者団に「消費税は社会福祉目的に限定しないと国民の理解は得られない」と語った。
 公明党山口那津男代表も記者会見で「直ちに消費税を充てるという考え方には賛同しない」と強調した。
 また、自民党町村信孝官房長官伊吹文明元幹事長は石破茂政調会長と会い、復興財源への消費税の充当は認められないとの考えを伝えた。との報道から見て自公両党は安易な消費税アップは国民の理解が得られないと判断したからだろう。

 いづれにしても財源無き今は、国債であれ、復興再生債であれ、借金には変りは無いのである。