事件―その2―弁護士殺人事件に思う

 4日未明、秋田県秋田市で弁護士津谷裕貴さん(55)が、自宅で剪定(せんてい)ばさみで刺され死亡した事件で、現行犯逮捕された同市、無職菅原勝男容疑者(66)は「離婚調停の問題で弁護士を恨んでいた」と供述している。津谷さんは左胸2カ所を刺され、傷の一つが心臓に達し、致命傷になった。
 県警捜査1課によると、同日午前4時5分ごろ、津谷さんの妻良子さん(53)から「主人を殺すという男が来ている」と110番があった。5分後に警察官二人が駆け付けたところ、菅原容疑者が台所付近で津谷さんともみ合っていた。
 警察官が二人を引き離したが、目を離したすきに菅原容疑者が別の部屋からはさみを持ち出し、警察官や津谷さんに向かって突進。警察官はとっさにかわしたが、津谷さんとは寝室付近でもみ合いになり、この際に胸などを刺したとみられる。
 同課によると、最初に警察官が駆け付けた際には津谷さんにけがはなかったが、その後、警察官の目の前で刺された。警察官は当初、津谷さんを犯人と誤認して取り押さえていた。加藤健捜査1課長は「(逮捕まで)わずか2分の出来事で、非常に難しい現場だった。落ち度があったとの認識はまったくない」と話した。
 はさみは刃渡り約20センチ、柄の長さ約45センチで、結合部分が外されて片側の刃だけの状態だった。菅原容疑者は拳銃のようなものを所持していたが、警察官が駆け付けた時点で津谷さんが取り上げていた。自動式拳銃で実弾が装てんされていた可能性があり、県警が鑑定している。発砲した形跡はなかった。「殺すために自分で凶器を準備した」と供述しており、計画的に犯行に及んだとみて調べている。との報道があった。
 
 私はこう言う事件があるといつも思う。
 必ず記者会見において、この事件を防止しなければならない担当警察署の第一声である。

 今回は『加藤健捜査1課長は「(逮捕まで)わずか2分の出来事で、非常に難しい現場だった。落ち度があったとの認識はまったくない」と話した』と言う言葉である。
 私はいつもこう言う会見での警察の「落ち度」と言う言葉である。彼らは必ずと言っていいほどこの「落ち度」と言う責任の所在の言葉を使う。これは何も警察だけの事では無い。確かに警察には多いが、得てして官僚・公務員・役人の常套語句なのである。
 彼らは「責任」と言う言葉に異常に反応する。つまり責任を負うと負わないのでは天と地ほどに違う、その事によって今後の人生が決まってしまうのである。
 
 今回の事件を見て見よう。問題は危険を察知した被害者が被害を受ける前にSOSを出して警察に助けを求めている事、と今回の事件はその被害者宅で起こりしかも二人の警察官の目の前で起こった事。悪い事にこの警察官達、犯人と見間違い、被害者を取り押さえ、その隙を狙われ被害者を死亡させてしまった事である。
 この状況を見て、警察官の「落ち度」が無いなんて言える事がそもそもおかしいのに、平気で厚顔の如く会見で県警のトップが言っている事である。
 これでは我々国民は、危険・事件防止に誰を信ずれば良いと言う事になるのであろうか。警察官はプロであろう。そのために、我々国民を守るために、日々訓練をして、その機のために職業として、つまりはプロとしての任務なのに。
 確かに大変なのは解かるが、助けるための行動が逆になってしまっては元も子も無いではないか。
 警察庁に望む。しっかりせい!。