相続と遺言状

 私は不動産屋として常に相続と切っても切れない関係にあります。
 この問題は人間の究極のドラマを生みます。正に人生のドラマそのものだと言っても過言ではありません。テレビドラマより、より生々しいドラマと言って差し支えありません。
 恐らくほとんどの方々が、自分には関係ないや、と思いながら一笑にふす方が殆どと思われます。が、一旦自分自身がその当事者となり、その土俵に上がるや否や、一笑にふした事を忘れ究極の守銭奴に成り下がります。
 普段立派な方、そして、誰にも愛され敬られて居る方ほど、人間が変わったようになります。今このブログを見て、いや私は、いや私に限ってと言われる方々がそうなる確率、ほぼ100%間違いないと思って差し支え御座いません。そう言う場合の商売に関わってきた私が言うのですから間違い御座いません。
 例を挙げて説明したいと思います。但し相続税については考えないものとします。
 今回の相続税は1人で相続した場合のみ掛かると思います。
(1億2千万円―基礎控除5千万円―相続人の数×1千万円=4千万円に累進課税
 ある地方都市にAと言う人が居ました。いや居たとします。このAには母親と妻、それに子供が3人いて、長男夫婦と孫2人と同居しております。次男は都会に出て家庭を持ち妻と子供1人と暮らしており、娘は隣町に嫁に行き子を3人もうけ元気に暮らし、週に二度ほど子供を連れて遊びに来ます。ここでこのA氏が急死したとします。民法は妻が1/2、子が1/2となり、長男、次男、娘がともにその1/2を1/3づつ分ける事になります。ここでこのA氏に1億2千万円の財産があったとしますと、民法通りにいけば妻が6千万円、子達が各々2千万円づつの6千万円になります。ところがです。ここからが問題となるのです。当然Aさん亡き後Aさんの家系の維持は3人の子供の話し合いによって決めますが、成り行き的には長男夫婦が後の維持を担う事は誰も依存は無い筈です。つまり面倒くさい事は、同居の長男夫婦に預けられるのです。だったらそれに比した財産分与も当然な筈ですが、民法はそれを認めていず、当分の分与となります。そうすると、これからのA家の維持にはお金も手間も掛かります。親戚の結婚及び弔事、お墓の維持、それに親戚付き合い等お金の掛かる事ばかりです。長男は当然維持費が掛かるから余計目の財産分与を要求します。そうすると、次男と娘は当然の子の権利を主張します。ここからドラマが始まるのです。恐らく皆さんウチはそんな事と笑っていらっしゃる方々が殆どです。がその方々が私が今言ってるドラマの主人公になるのです。ほぼ間違い御座いません。それはそれは醜いものです。あんなに仲の良かった兄弟が姉妹がと言われる方々が特に言われております。これを阻止するんがため遺言状と言うのがあります。長男に全部譲りたくばそのように書けば言いだけです。但し相続権利者である次男と娘は、裁判所に異議申し立てすれば、遺留分の権利が発生し、相続できる権利の1/2が権利として認められます。つまり事例の次男と娘は夫々1千万円づつ相続できる事になります。
 まだまだありますが今回はこのへんで。今後色々ご紹介したいと思っております。ご期待下さい。