小沢の選挙手法=田中角栄譲りのドブ板選挙(その3)

 民主党内に浸透したかにみえる小沢イズム。だが、横山と同様に小沢の秘書経験がある元衆院議員、樋高剛は小沢と撮影したポスターとは別に同党の参院議員、蓮舫とのポスターを張り始めた。神奈川18区から出馬予定の樋高は、小沢の書生を振り出しに秘書まで務めたが、ポスターを張り替えなければならないほど選挙情勢が厳しいと憶測を呼んでいる。西松建設の巨額献金事件に絡む小沢の「政治とカネ」の問題の影響を指摘する向きもある。

 「すべては選挙に勝ってから」という小沢イズム。この“戦訓”に忠実に従えば、小沢とのツーショットは敬遠されてしまうのだろうか。=敬称略
(安岡一成、荒船清太、原川貴郎、金子聡)

 小沢流は注文が多い。

 「今の候補者は上下関係を知らない」「先輩にたてつくことが民主主義だと思っている」「プライドばかり高くて大学院生みたいだ」。小沢の言葉は、そう伝えられた。「人数より回数」「100人集めるより何度でも10人を集めろ」

 3カ月で1万5000軒を回ったという民主党国会議員の元秘書は小沢イズムの体現者だ。「党本部が金をくれないって文句ばっかり言う候補者を引き連れて歩きましたよ」。自民党支持者宅なら「お茶が出るまで通え。次は飯が出るようになるまで通うんだ」。
(了)